自分を邪魔をしているのは自分だった!? 邪魔しているのは、人格化した心の叫び
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1976年生まれ、群馬県在住。
ヒプノセラピーの先進国、アメリカ合衆国の中でも長い歴史を誇る、ヒプノセラピーのナンバーワン・プロ団体「NGH」。ナンバーツーの規模を誇る「ABH」の両団体より公式認定されたスクールにて、ベーシック・トレーニング、プロフェッショナル・トレーニング、トレーナー・トレーニングの全コースを修了。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)となる。
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人格化した心の叫びとは?
強い心の叫びを意図的に無視し続けた場合、心の叫びは人格化して潜在意識に定着します。
この人格化した心の叫びは、常にあなたと共存し、自分という存在に危険が及ぶと、その姿を表して自己防衛を始めます。
この自己防衛の行動が、現在のあなたの立場を全く無視して行われるため、あなたの日常は辛いものになります。
エピソード
会社員の男性Kさんは、人生にあるパターンがありました。
そのパターンとは、自分の評価がかかっている大きな仕事の最終局面になると、急に仕事が無意味に感じられたり、朝起きても世の中全てが虚しく感じられて、ベッドから起き上がれないというパターンでした。
その状態になると、気持ちは乱気流の様に変化します。虚しさの中で気力が削がれた後、今度は猛烈に仕事がしたくなり、この2つのパターンが目まぐるしく切り替わります。
最悪なことに2つのパターンがいつ変わるのか、全く予測できませんでした。
自信を持って前日までに一生懸命準備した会議資料・会議構成に満足し、意気揚々と眠りについても、翌朝は全てが虚しくなり出社できないのです。
虚しさの中、ベッドで休んでいると、今度は急に「あんなに頑張って準備した会議なのに、俺はここで何をしているんだ?」と我に返り、不甲斐無さでいっぱいになりました。
Kさんの目的(周囲に評価され、ステップアップしたい)を強く求めれば求めるほど、このパターンは明確に現れました。
これまではこのパターンが現れても、周囲への責任感から、なんとかやり過ごしてきましたが、ある朝、引き裂かれるような虚しさの中で目を覚ました時に、Kさんは自分の中にはっきりと「自分を邪魔する何」を感じたそうです。
Kさんを邪魔する何かとは、Kさんが成功すると不利益を被る何かです。
Kさんの中に、Kさんが周囲に評価されステップアップすると困ってしまう存在がいるということです。
Kさんを邪魔していた存在は、幼少期のKさん自身でした。よく言われているインナーチャイルドに該当します。
当時、ある出来事によりKさんの中にルールが生まれます。
それは「周囲が求める自分になれば、安心して存在できる」というルールでした。
当時Kさんが周囲から求められていると感じた自分像は、「手が掛からず、大人の事情を汲んでくれ、常に明るく扱いやすい子供」でした。
対照的にKさんの内面は、激しい孤独と、自分の存在を軽視してたらい回しにする、大人達への嫌悪と怒りでいっぱいでした。
これがKさんの心の叫びです。
しかしKさんの置かれている立場でこの心の叫びを訴えると、Kさんは養育者を失ってしまうことも理解していました。
そこでKさんは、この心の叫びを「自分の安全を邪魔する危険なもの」として、無視することを意識的に選択したのです。
対立する内部
心の叫びがKさんを邪魔する理由は「Kさんが周囲に評価されステップアップしてしまうと、新しい世界に夢中になり、苦しんでいる自分のこと(心の叫び)をどんどん忘れてしまう、自分だけここに閉じ込められているの耐えられない」というものでした。
そして「自分は(物事を)本当に感じることができるが、Kさんは自分と離れているので、本当に感じることが出来ない」とも言いました。
この心の叫びに対するKさんの最初の感情は「甘ったれている、もう俺の邪魔をするな」という怒りでした。
そして心の叫びを理解するよりも、このまま消したいと言い、現在のKさんにとっても、この心の叫びは不要なものでした。
そこで、心の叫びと統合した自分と、心の叫びを削除した自分の2つのタイムラインをそれぞれ確認したところ、Kさんはある決定的な違いを知る事をになります。
この決定的な違いにより、Kさんは心の叫びと統合することを選択しました。
ギフト
Kさんが得たギフトは、周囲に認められる為でなく「自分の為にこれまでの実力を使って、この人生で自分自身に何を与えられるのか知りたい」という自分への探究心でした。
人格化した心の叫びは、一見邪魔に感じるかもしれませんが、あなたに受け入れられると、あなたの頼もしい戦友になります。苦しい時間を共に経験し、今に至るその道のりを、あなたは誇らしく感じるようになるかもしれません。