めぐり逢う人たち、時を超えた想い
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1976年生まれ、群馬県在住。
ヒプノセラピーの先進国、アメリカ合衆国の中でも長い歴史を誇る、ヒプノセラピーのナンバーワン・プロ団体「NGH」。ナンバーツーの規模を誇る「ABH」の両団体より公式認定されたスクールにて、ベーシック・トレーニング、プロフェッショナル・トレーニング、トレーナー・トレーニングの全コースを修了。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)となる。
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めぐり逢う人たちとは?
ヒプノセラピーでは、潜在意識を通して、今とは別の人生にアクセスしてる時、その人生で出会う人物と、日常の世界でも出逢っているか尋ねることがあります。
主要な人物ほど、出逢っていることが多く、例えば、別の人生で母親だった人物が、今の人生では息子になっているなどです。
しかしめぐり逢うのは、日常の世界だけとは限りません。
エピソード
女性Sさんは、ある人物に関わると強い劣等感を感じていました。
近頃は、劣等感を感じている自分を上手く誤魔化せなくなり、相手や周囲にも違和感を与えているようだと心配していました。
Sさんが劣等感を感じる相手は、愛される人柄と、金銭面でも充実した生活を手にしていました。
Sさんの悩みは、その相手と居ると自分の人生を惨めに感じてしまうことでした。
なぜ過剰に反応し、劣等感を感じてしまうのか、セッションを進めていく中で、Sさんのガイドは、その理由と思われる人生よりも別の人生の印象を強く送ってきました。
Sさんも今はこの理由を知る時期じゃないのかもしれないと感じたようで、ガイドが提案した別の人生にアクセスすることにしました。
その人生でSさんは、経済的には一般的な暮らしでしたが、夫にとても深く愛され、女性として満ち足りた人生でした。
その夫は何をするにもSさんを尊重し、生涯変わらぬ愛を与えてくれました。
Sさんもなぜここまで大切にしてくれるのか?と不思議に思うほどでした。
そこでこの夫と、Sさんの日常の世界でも出逢っているか尋ねると、Sさんはあっと驚いた表情をした後、優しく微笑みました。
この夫は、日常の世界で誰だったのでしょうか?
「Sさんとしての日常の中で、この夫は誰と重なるようですか?」という質問に、Sさんは「この夫は、前の前の人生で私の叔父でした」と答えました。
その人生で、Sさんは子供のいなかった叔父夫婦の養女になりました。
叔父は親になれた喜びで満たされ、Sさんの成長を楽しみにして、大切に育てました。
しかしSさんは12歳の時、火事が原因で亡くなってしまいます。
叔父は大切な娘を失った絶望感と、娘の未来が奪われた悔しさから、ある決断をしました。
Sさんはイメージの中で、自分の柩に向かって泣く叔父を上空から見ていました。
叔父はSさんの柩に向かって、「絶対にまためぐり逢って、幸せにしてやる。Sが経験できなかったこと全部与えるから」と繰り返し言っていました。
この後、Sさんを別の場面に誘導しようとしたところ、Sさんは「まだここに居たい、叔父を感じていたい」と言いました。
そこでしばらくその場面に時間を取り、ゆっくりと叔父を感じてもらいました。
その間のSさんの表情は穏やかでしたが、時折感情が込み上げてくるようでした。
余談
Sさんと叔父が暮らしていた文化では、想いを叶える願かけのような儀式があり、叔父はSさんとまた巡り逢えるように、願かけを生涯していました。
そしてその願かけに使われていた布は、現代でも似たようなものがあり、Sさんは、昔からこの願かけの布と似たような布を見ると、なぜか切ない気持ちになって不思議だったそうです。
新しい世界
セッション中、Sさんが叔父から離れたくなかったのは、叔父の強い想いを、深く感じていたかったからでした。
Sさんは「こんなに強く想われて嬉しかった。心が温かくなって、ずっとそこに居たかった」と言いました。
そして劣等感を感じていた相手に対して、今どう思うか尋ねると、「相手にも自分にもそれぞれの人生があり、人生を比較する必要はないと思う」と話しました。
叔父の時を超えた想いは、Sさんの心に新しい視点を生み出したようです。