心の石を金に変える? 錬金術のようなリフレーミング
この記事を書いている人 - WRITER -
1976年生まれ、群馬県在住。
ヒプノセラピーの先進国、アメリカ合衆国の中でも長い歴史を誇る、ヒプノセラピーのナンバーワン・プロ団体「NGH」。ナンバーツーの規模を誇る「ABH」の両団体より公式認定されたスクールにて、ベーシック・トレーニング、プロフェッショナル・トレーニング、トレーナー・トレーニングの全コースを修了。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)となる。
>>
詳しいプロフィールはこちら
リフレーミングとは?
リフレーミングとは、物事に対する視点を変えるNLPの手法です。
あなたが物事を捉えるとき、あなたが人生に採用したフィルター(基準)を通して見ています。
このフィルターをフレームと呼び、このフレームを変えることをリフレーミングといいます。
フレームを変えることで、これまでただ石だったものが、金に見えてくることもあり、リフレーミングはどこか、錬金術のような側面を持っています。
エピソード
男性Mさんは、頭ごなしに意見を言ってくる相手を、時折、徹底的に追い詰める癖がありました。
Mさん自身も、大人気ないとわかっていながらやってしまい、後で自己嫌悪に陥るというパターンでした。
セッションで、Mさんがその感情に集中し潜在意識にアクセスしていくと、ある場面が浮かび上がっていきました。
大雨の中、幼いMさんと弟は、裸足のまま庭に出されています。
大雨の音に、負けないくらいの大声で怒鳴る父親と、その脇で、手を出すのを止められた、心配そうな祖母の顔が見えます。
弟は、恐怖のあまり、しゃくり上げるように泣いていました。
弟と遊んでいたMさんのある行動が、たまたま機嫌の悪かった父親の目に留まり、この状況を招いていました。
父親はMさんに「謝れ」と要求しましたが、幼いMさんでも、それが言い掛かりだとわかっていました。
最終的にMさんは、身に覚えのないことに対して父親に謝るのですが、この時、Mさんは強い屈辱感を感じていました。
Mさんは、その時の気持ちを「悔しくてたまらない」と言いました。
この場面を別の角度から見ていきます。Mさんはこの状況の中で、他にどんな感情を抱いていたのでしょうか。
この場面で、Mさんが感じた他の感情は2つありました。1つは、雨に濡れ恐怖に怯えている弟を早く家の中に入れてあげたい、2つ目は、泣きそうな祖母を助けたいでした。
次に、大人のMさんの視点で、この場面の父親を客観的に感じてもらい、「小さな男の子がこの人物(父親)の感情をなだめることは可能か」と尋ねると、「無理。それが出来るのは、この人物(父親)の上司ぐらいだと思う」と答えました。
Mさんに、「小さな男の子は、この状況から大切な人たちを解放するため、してもいない事に対し、謝ることを選択したが、その行動をどう感じるか」と尋ねると、「小さいのに、良くやった」と言いました。
そして「この場面で一番精神的に大人だったのは誰か?」という質問には、「自分」と答えました。
余談
Mさんにとって、大雨の場面で感じた屈辱感・悔しさは、ビジネスで前進するためのモチベーションでもあったようです。
新しい世界
Mさんの新しい視点は、思い出すたびに心を傷つけた過去が、自分の強さを示した大切な出来事に変わったことでした。
あの大雨の場面の小さな男の子は、自分の判断で、自分ができる最大限のことを選択した、男らしい男の子でした。