崩壊という名の解放?
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1976年生まれ、群馬県在住。
ヒプノセラピーの先進国、アメリカ合衆国の中でも長い歴史を誇る、ヒプノセラピーのナンバーワン・プロ団体「NGH」。ナンバーツーの規模を誇る「ABH」の両団体より公式認定されたスクールにて、ベーシック・トレーニング、プロフェッショナル・トレーニング、トレーナー・トレーニングの全コースを修了。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)となる。
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人生の崩壊?
日常生活であなたの存在を証明するポジションのいくつかが、短期間であなたから失われる時、あなたはどんなことを考えるでしょうか。
職業、家庭での役割、友人関係、恋愛関係などがあなたから消えると、あなたが自分自身の存在を確認するツールが消えてしまったように感じるかもしれません。
そしてなぜ消えてしまったのか、その理由を知りたくなる、そんな時が来るかもしれません。
エピソード
男性Fさんは、立て続けにFさんの存在を証明するポジションを失いました。
その状況をFさんは「人生が崩壊した感じ」と言いました。
そんな状況の中で、Fさんは引き寄せの法則を知り、自分がこの状況を引き寄せたのか潜在意識に聞きたいと話しました。
セッションではFさんを、現在の人生を計画した場所に誘導し、その位置から現在の状況を感じてもらうことにしました。
Fさんがその場所に徐々にアソシエイト(その時の感情と一体化)していくと、急に目頭を押さえ、沈黙しました。
Fさんは何か大きな感情を感じているようでした。
Fさんの感情が落ち着いたところでFさんに、「あなたに様々なことが立て続けに起きた状況をどう感じますか?」と尋ねると、
「とても・・・嬉しいです。やっと解放されたって思っています。」と答えました。
カウンセリングでFさんは淡々と自分の状況を語っていましたが、そこに嬉しさを感じている様子はみられませんでした。
Fさんはなぜ嬉しさを感じているのでしょうか?
Fさんは、今回崩壊したいくつかのポジションを「妥協の産物」と言い、その妥協の産物から解放されたことが、Fさんに嬉しさを与えていました。
そしてFさんに、「人生が崩壊したと話していたが、その事について今の視点からどう感じるか」聞くと、
「人生の崩壊じゃなく、これは仕切り直し。あのまま(崩壊前)だったら、心がどんどん無感覚になってしまい、生きる力が消えていくだけだった」と答えました。
Fさんに、「あなたがこの状況を引き寄せたと感じるか?」尋ねると、
「引き寄せたのではなく、(今回の人生の中に)計画してきた。仕切り直しのチャンスを4回設定していて、今回のことは3回目のチャンス」と言いました。
どうやらこれまでの2回のチャンスは、活かせなかったようでした。
その事についてFさんのガイドは「Fさんが持つ人に対する優しさが、2回のチャンスの決断を鈍らせてきた。でもその優しさが自分と周囲に何をもたらしたか、(今回の崩壊で)よくわかっただろう」と話しました。
また、ガイドはFさんに伝えたいことがあると言い、それはFさんが持つ資質についてでした。
ガイドが話すFさんの資質は、現在のFさんの印象とは大きく異なったもので、Fさん自身も驚いていました。
しかしFさんは驚きながらも、「そういう資質を持った人間が、前の環境(崩壊前)で生活していくことは、かなり難しいと思う」と笑いました。
そしてFさんは現在の状況について、「2回目のチャンスを活かせなかった時から、現在の状況(崩壊)が来るのを待っていた部分もあったのかもしれない。」と話しました。
余談
Fさんが感じた、解放された嬉しさをFさんの体の一部にアンカリングしました。
アンカリングは手軽に出来る、自分への栄養補給です。
新しい世界
人は、新しい自分のポジションを育てている期間に、大きな不安や混乱を感じると、これまで自分を支えてきた古いポジションが恋しくなり、以前の環境に戻ろうとしたり、似たような人間関係を探したりすることがあります。
Fさんに、「そういう状況になった時、どう反応しそうか?」尋ねると、
「前(崩壊前)に戻っても、そこには自分の未来は無いとわかったので、戻りたいとは思わない」と言いました。
そこでFさんに、「今後、不安や混乱に遭遇した時、それは想定内の自然な成長過程として受け取るということですか?」と聞くと、
「そうなると思います。新しいものと古いものが入れ替わる時は、そうなって当然だと思います。大変でも、意味のある苦労だから」と答えました。
そう答えたFさんは、既に感じ取り始めた新しい自分を見据えているようでした。
そこには、人生が崩壊したと言ったFさんではなく、新しい世界に向かって進もうとしているFさんが居ました。