ペットの恩返し?! 面白いエンプティチェア
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1976年生まれ、群馬県在住。
ヒプノセラピーの先進国、アメリカ合衆国の中でも長い歴史を誇る、ヒプノセラピーのナンバーワン・プロ団体「NGH」。ナンバーツーの規模を誇る「ABH」の両団体より公式認定されたスクールにて、ベーシック・トレーニング、プロフェッショナル・トレーニング、トレーナー・トレーニングの全コースを修了。
ヒプノセラピスト(催眠療法士)となる。
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エンプティチェア とは?
エンプティチェアは、心理学でよく使用される手法です。
椅子を2つ用意して、一方の椅子にあなたが座り、片方の椅子には、あなたが話をしたいと思う存在を座らせます。(座っていると想定する)
あなたは椅子に座りながら、片方の椅子に向かって、相手に伝えたいことを話します。
次に反対側の椅子に座り直し、今度は相手の立場になって、自分が言ったことに答えていきます。
ヒプノセラピーでは、これをイメージの中で行います。
あなたが話をしたいと思う存在は、生死を問わず、人から動物まで呼び出せます。
エピソード
男性Oさんは、最近リラックスできないため、一番リラックスした記憶を再体験してみたいということでした。
Oさんは、初回のセッションから数を重ねるごとに、深い催眠状態に入れるようになり、自分の催眠状態を楽しめる余裕も出てきました。(初回から、とても深い催眠に入るクライアントもいます)
Oさんのように自分の催眠状態に余裕(安心感)が出てくると、潜在意識の情報に深くアソシエイト(感情と一体化した状態)するようになります。
すると安定した集中力で潜在意識にアクセスし、催眠中でもしっかりと自分のリクエストを伝えるようになります。
例えば、ある場面誘導でクライアント自身が、気になる存在(或いは物、場所)を見つけます。
そしてセラピストに、この存在(或いは物、場所)との関係性も知りたいので、後で誘導してほしいというようにです。
Oさんは、リラックスした記憶にアクセスしていく中で、リクエストを伝えてきました。
リクエストは「亡くなったペットの犬が今そばに来てる、なぜペットが出てきているのか知りたい」ということでした。
そこでエンプティチェアを使って、ペットの犬と対話しました。
このペットを飼っていた時、Oさんは反抗期でした。
親と自分自身への怒りでやりきれない時など、ペットに八つ当たりをしたこともありました。
そのことがOさんの中で罪悪感として残り、ペットに、自分が飼い主にならなければ良かったんだと言いましたが、ペットは意外な言葉を返してきました。
ペットは、当時Oさんが苦しんでいたことを理解していて、Oさんの態度は仕方なかったと言いました。
そしてしゃくり上げるように涙をこぼし(Oさん自身が泣いている)、「Oさんは本当はとても優しい。Oさんがどれほど自分に優しくしてくれたか、Oさんがフランスの農民だった時、よく知っている」と言いました。
Oさんがフランスの農民だった時、その地域で流行病が発生したそうです。
人々が倒れていき、食べる物も不足していく中、Oさんは自分の食べる分をこの犬に食べさせていました。
Oさんは、どんなに厳しい環境の中でも、このペットを友人のようにいたわり続けたようで、ペットは「本当に大切にしてくれたんだ」と泣きながら繰り返しました。(Oさん自身がペットに深くアソシエイトした状態で話している)
そして「今回の人生で、自分がOさんから辛い態度を取られることはわかっていた。でもOさんにとって、今回の経験は大切な意味を持つから、怖かったけど生まれてきた」とも言いました。
余談
「僕のワンダフル・ライフ」という映画があります。
主人公は犬で、最初の飼い主の元で、老衰で人生を終えます。
その後、数回の人生を重ねてから、最初の飼い主を見付け出し、戻っていきます。
この映画の興味深いところは、主人公の犬が、新しい人生の誕生時から、過去の人生の記憶を持っている点です。
新しい世界
催眠から覚めた後、Oさんは何が起こったのか理解しがたいようでした。
そして戸惑ったように「こんなことってあるんでしょうか?」と聞いてきました。
Oさんはこの答えを、どんな風に見つけていくのでしょうか。
見つけていく過程で、Oさんは今は気づいていない、新しい世界に触れていくことになりそうです。